2008年の金融危機関連本の一つですが、何が起きたのかということよりもその原因分析とこれから何をすべきかの検討に重点が置かれていますので、何が起きたのかに自信がない方は、別の本(PaulsonのON THE BRINKがおすすめ)で復習をしてから読んだほうがよいと思います。Stiglitzは政府による金融規制の必要性を外部不経済(externalities)の観点から強く主張しており、規制はイノベーションを阻害するという金融業界からの反論に対しては、これまで社会に役立つ金融イノベーションなど一つもなかったことを再三にわたって論証しています。これから成すべき事は金融改革に留まらず、グローバルな観点からの経済改革が必要であり、その目的となる新しい社会のあり方に関する議論で本書は締めくくられています。経済学に基づいた議論が多くちょっと難しいところもありますが、ジャーナリストや危機当事者達の書いた金融危機関連本とは違った深みがあると思います。
内容的には星5つですが、索引がないのに加えて目次が雑なために読み返しにくく、星4つとしました。