「Harvest」に代表されるアコースティック路線、次作「Ragged Glory」につながる爆音路線、そして不遇のゲフィン時代から前作「This Note's for You」まで続いた「気まぐれ」路線(?)がうまくひとつにまとまった傑作。(逆にそれがこのアルバムをなんとなく散漫なものにしている、という批判もあるだろうが・・・)自分自身の体験から言うと、これだけニールの「多重人格者」的な魅力がギッシリ詰まっていれば、入門編には最適な一枚ではないだろうか。彼のことを何も知らずに聴く人は「The Ways of Love」や「Wrecking Ball」でのソフトなアプローチと「Don't Cry」や「On Broadway」での発狂ギターのあまりのギャップに「このオヤジは完全な精神分裂症だ!」とあっけにとられるかもしれない。だが、その多面性こそ彼の熱狂的なファンを魅了してやまないところなのだ。
ロック・アンセム的な「Rockin' In The Free World」のインパクトがあまりにも強烈なせいで見落とされがちだが、収録された楽曲はどれも非常にクオリティが高いものばかりだし、リンダ・ロンシュタットとのデュエット曲やホーン・セクションの起用も良いアクセントになっている。タイトにまとまったリズム・セクションがどんな曲調でも無理なくこなしているお陰で、ニールはまさにやりたい放題、もう誰もこのオヤジを止められない、といった感じ。特に「Eldorado」で「絶叫する青い目、血のように赤い髪の闘牛士」が登場するくだりでギターが大爆発する瞬間などは何度聴いても鳥肌モノだ。
このアルバム(実際にはその前に出た限定盤EPの「Eldorado」)から「Ragged Glory」〜「Weld / Arc」〜「Harvest Moon」へとつながっていく流れは間違いなく彼の長いキャリアにおけるピークのひとつだし、80年代の低迷期がウソのような絶好調ぶりだ。まさしく「Forever Young」なニールには今後もひたすら熱くロックし続けていってもらいたい。