「音楽はエンターティメント。ウケたもん勝ちやで。」
とまぁ,そんな高笑いが聞こえてきそうなエイコンの3rdアルバム。正直なところ最初は「これがHip‐Hop?」という疑問も。斬新で形にとらわれない音楽とはいえ,どこかに伝統的なR&Bへのリスペクトを漂わせるHip‐Hopを聞いてきた僕にとって,生音一切無しの,まるでテクノのようなサウンドで,時折,ロック・シンフォニーのような大そうなフレーズまで,というスタイルには違和感あり。
ところが,キャッチーでノリの良いサウンドに自ずと耳が傾いてしまう。サスペンス・ドラマの挿入歌に使われそうなニヒルなフレーズが印象的な「Right Now(Na Na Na)」が着うたで大ヒットというのも納得。「Troublemaker」は,メロウなシンセに,ラップのような早口ヴォーカルと程良く女性コーラスも交え,キャッチ−に仕上げたアップ・テンポ。リル・ウェインを起用した「I’m So Paid」は,レゲェないしはアフリカ大陸回帰的なゆったりとしたスウィング感が心地良いミッド・テンポ。「Against The Grain」は,しっとりと愁いを帯びたメロディーのバラード。この曲なんかペットショップ・ボーイズが演ってもおかしくないぐらいポップでドラマテッィク。トリを務めるタイトル曲「Frredom」は,大海原を想起させるような開放的でスケールの大きなバラード。穏やかでゆったりとしたメロディーが心地良い。
他曲もキャッチーという意味ではポテンシャルが高く,どれがシングルになってもウケること間違いなしの充実度。聴き終わって「やられた!」と感服。
悪く言えば売れ線狙い,ということなのだろうが,彼にとってはそんな批判も計算のうちなんだろう。
Hip-Hopかくあるべき,なんて難しいこと言わずに,お気楽に踊って聞き流す1枚。