フランス・ギャルの全盛期である60年代、フィリップス・レコード
在籍時代の活動をまとめた3枚組のボックスです。丁寧な装丁で写真も
豊富に使われており好感が持てる作りになっています。
彼女は自分の最も好きな女性ヴォーカリストです。「天使の歌声」なんて
形容はこの人のためにある物だと常々思っています、それくらい素晴らしい
歌声です。そしてセルジュ・ゲンズブールをはじめとする彼女を支えた
作曲家達の先進性が結実した見事な曲の数々。
ギャルの音楽を聴いたことのない人でも、いきなりこのボックスセット
を買ってもいいと断言できます。音楽を心から愛する人には、絶対何かしらの
発見、素晴らしい輝きがこの作品から見つかると思っています。
多くのフレンチポップがイージーリスニング的な捉え方しかされ得ない
中、ギャルの音楽はフレンチポップという枠組みの中で絶えず進化や実験
を繰り返していました。60年代、次々と新しい音楽が生まれていた時代
だったからこそですし、やはりビートルズの影響が最も大きいでしょう。
シャンソンを基盤としたアイドルポップのディスク1、徐々に他のジャンルの影響
が顔を見せ初めていくディスク2、そしてジャズありシタールありハード
ロック風あり麻薬ソングありと縦横無尽な活躍ぶりを見せるディスク3と
まさに「a hard day's night」から「magical mystery tour」辺りまで
の流れを踏襲しつつも独特のノスタルジックな雰囲気で統一された楽曲
は、どこまでもポップで可愛らしいもので何時までも色褪せる事はありません。
熱が入って長くなってしまいましたが、それくらい語らせてしまう力を
持った作品なのは間違いないです。一人の素晴らしい歌声を持つ女性を
通して、音楽が生まれ、そして育っていく過程が見られます。