このアルバムでは、女性ヴォーカルの懐かしの名曲を取り上げています。1曲ずつリード・ヴォーカルを交替していますので、曲ごとに色合いが異なってきます。メンバーの歌唱力が高いからそのような交替が可能なわけですが。これは2006年発売の4枚目のアルバムにあたりますが、彼らの高い実力が聞ける内容が詰まっています。
チキ・ガリは、神戸を本拠にして活動していた日本のア・カペラ・グループの草分けと言われています。川上伸也、小林雅彦、前澤弘明、渡辺敦、濱田康裕、長谷川真一の6人組で、1990年に結成し地道に音楽活動を続け、頑張ってきたというその歴史は素晴らしいと思います。
アレンジによっては結構難しいハーモニーを用いていますが、崩れることなく歌っており、安定度の高さは特筆すべきものだと思っています。パートのチェンジが上手くいっていますので、音色が曲ごとに変化しますから、単調にならないのは素晴らしい力量の表れでしょう。
プロだから完璧なハーモニーを要求するのは当たり前のように思えるかも知れませんが、メンバーの実力が拮抗しているからこそ、この魅力的で精緻なハーモニーが生まれるのです。
オリジナル曲の特徴を上手くとらえ、ア・カペラで再現してみたらこうなりました、という趣向です。高声部の密集和音が奏でるハーモニーの輝きは原曲のもつ懐かしさや切なさをストレートに届けてくれました。曲ごとに渡辺敦さんはアレンジの雰囲気を変えており、リード・ヴォーカルも声質の変化を各人が意識して歌っていますので何回聴いても飽きません。繰り返し聴きたくなるような高い完成度を誇っていますので。
前澤弘明さんの「悪女」の歌唱法の変化は見事でしょう。
なお、リーフレットの解説は、各曲でリード・ヴォーカルを担当した人が交替で書いています。結構これは楽しませてもらいました。