リチートラを見たくて購入しました。
「運命の力」は好きなオペラではあるのですが、
修道服を着て修道院の中で繰り広げられる場面が多く、
まるで舞台はオラトリオ風ですし、
ストーリー展開に華やかさを加えるために行われている
本筋とはあまり関係のない諧謔的なシーンが少し長すぎることもあり、
ビデオではあまり見たいと思わないオペラでした。
このディスクの宣伝を見ていると少し現代的過ぎるところがあって、
またドイツ語圏特有の安普請の読み替えバージョンかと思っていましたが、
実際に見てみると、さすがウィーン国立歌劇場だけはある見応えのある舞台です。
真ん中にテコのような大きな物体があり、それが場面場面で回転して使われます。
そのテコの周りに物語りが繰り広げられていきますが、
基本は衣装もセットも白か黒でげんなりしますが、
戦場の場にはたくさんの赤い衣装の人が出てきます。
それ自体は少し滑稽過ぎるのですが、モノクロームの舞台では
とてもアクセントになって面白いです。
天井から吊されている人間(最初は人形)も現代戦を意味していてて、
あまり気持ちのいいものとは思いませんが、いいアイデアだと思います。
歌手は、まずシュテンメのレオノーラが素晴らしいです。
よく歌い込まれていて、ツボを押さえた演奏です。
お目当てのリチートラは、まだまだ修正の余地はあるものの、
今まで見た彼のビデオの中では一番いいできだと思います。
もう少し痩せていればもっと見栄えもいいのですが。
アルバレスのドン・カルロも頑張って歌っていて、
声の伸びもよく、とても気に入っています。
指揮のメータが、これはお得意のオペラなのか、
本当に巧くオケを鳴らしていると思いました。
少し前に発売された70年代の舞台で、カレーラス、カバリエ、カップッチルリ、
ギャウロフのスカラのビデオもすさまじい演奏で感激しましたが、
演出・衣装・舞台で言うとこちらの方がずっと見応えがあります。
しかし一番の不満は日本語字幕がないことです。
中国語やハングルまであるのに、どうしてオペラ・ファン層の厚い日本語が
こうしてないことがあるのでしょうか。
日本語を入れて別に高く売るためでしょうか。
この種の商魂にはいいかげんうんざりします。