95年発表の20作目。アイオミ(g)、マーティン(vo) に加えてコージー・パウエル(dr)、ニール・マレイ(b) を迎え『TYR』時代の布陣に戻って制作された作品。
1.はソフティケイトされたイントロにビックリしつつも、最初期に戻ったかのような変則ブルース・ロック的な展開に更にビックリ。ギタ−とヴォ−カル、ベ−スのユニゾンで強引に引っぱる演奏はかなりの快感で、焼き直しとはいえ新鮮に響く。2.は一変してスピード感を増したギター・リフで引っぱる。こちらも強引にギター・リフで引っぱる曲だが、リフの合間の小技の効いたフレーズを含めて熟練の技のようなものを感じさせ演奏に説得力がある。それでいて歌メロは産業ロック的なキャッチーさがあるのだからこれはこのメンバーならではのものだろう。3.は珍しくギター・アルペジオに導かれる曲。中盤からは典型的な様式メタルになるが、歌メロはやはり産業ロック的。8.はアラビア風のフレーズも盛り込んだパワー・ポップに聞き間違えそうな仕上がりの曲。個人的には好きだが、コアなファンには許せないかもしれない。どちらにしても特に後半に顕著に見られるポップ路線は新境地。
暫く続いたレインボー風味が一気に払拭され、おそらくはマーティンの持ち味であろう産業ロック的な要素が再浮上してきている。しかしながらかつての作風とはかなり趣が異なり、微妙に乾いたアメリカン・ロック的な雰囲気を加味した近代的なサウンドが聞かれる。フレーズなどにはかつてのサバス的な要素はあるもののドロドロとした雰囲気は希薄となり、作品としては極上ではあるもののこれがサバスなのか?と一瞬思う部分も無きにしもあらず。ただし聞いていて本当に気持ちが良いのも確かで、ギター・サウンドとしては抜きん出ていることは間違いない。サバス史上最もサバス色薄い作品という位置付けでどうだろうか?マーティン主導の作品というのが本筋だろうが。