他の方のレビューにもありますが、1st(『the book・・・』)で際立っていた特質(耳に残るリフ、各パートの絡み、ツボをおさえたブレイクなど)が前面に出ているわけではないので、前回とは別の方法が追及されたアルバムだ、くらいに頭を切り替えて聴かないと、不満が募るかもしれません。それを衰退と見るかどうかが、購入するしないの分岐点のひとつになると思いました。
では、本作における趣向はどこにあるか、という事について考えてみると、1stに感じた数少ない不満(=ギターアルペジオを中心とするが故に、曲調のバリエーションが少ない)が打開されている点は、ひとつ挙げられると思います。
もちろん1stの演奏においても、多彩な感情表現、情景描写は盛り込まれているのですが、本作はあえてギター主体のフレージングを放棄し、多様なジャンルを取り込む事で、感情表現と文脈の幅を拡張する事に成功したのではないでしょうか。
ポストロックという言葉で大まかに括られている、特にインスト系バンド群の音楽的特徴については、画一的な印象(冷たい曲調、単調なアルペジオ、手垢のついた静⇔動の展開)を持たれる傾向があると思います。このジャンルを志向するバンドが、それらのマンネリ感を打開していくために、今回の試みが与える影響は小さくないと感じます。
その意味では、本作はtoeだけでなく、同ジャンルのバンドにとっての未来に向けて開かれているのだと思います。
なお、ギターを中心としたバリバリのインストロックで溜飲を下げたい、という方は、MIRROR『on, then, in』(2007 CATUNE)を個人的名盤として推薦します。