彼が、写真家、冒険家として「この地球を受け継ぐ者へ」を上梓してから10年が経ち、
あの頃の若さという原石な輝きが、時の経過とともに研磨されていったものが
本書に繋がったのだろう。
誰にでも初めての山が旅があるように、
2度目に訪れるべき山や出会いもある。
経験した分だけより客観的に捉えることができるし、
それが本書にも現れている。
出会った人々の再会、訪れたかの地への憧憬、
シェルパの成長と栄光と堕落を時の変化に合わせて綴っている。
また、2011.3.11の東日本大震災の当日に彼が過ごした出来事や
その後、すぐに被災地に向かった現地での状況なども書かれているので、
ただの山日記では終わらない内容でもある。
若干、玄人向けの内容にもなっているけれど、
丘の上でネットワークを探す姿など、
あの頃と変わらない空気感は随所に残っているので、
石川ファンはもちろん、山好き、旅好きにも楽しめる。
なによりエベレストの現実が描かれているので、
遠い存在なエベレストが、実はとても近く、そして脆いものだと知るだろう。
そんな世界のてっぺんにちょっと立ち寄ってみませんか?