前作‘cendre’が個人的に音楽の理想像に出会えたと言えるほど気に入っていて、この作品もリリースを待ち望んでいた。
今作‘flumina’は2009年3月〜4月に日本各地を巡回した坂本龍一ピアノツアーの、1公演ごとに1回おこなっていた即興演奏のピアノに、フェネスがほどよく寄り添うヴェールのような淡いノイズを付け加えたかたちになっている。
坂本教授の公式コメントで、24公演あったので1回ごとに曲の調性を変え、バッハの「平均律」などのように西洋音楽の24の調をすべて使ったと言っている。
あいにく私は調性が聴き分けられる耳を持っていないので、どの曲がなに調かはわからないのだが…
今作の元になったピアノの即興はiTunesで買うことができるので、どのようにアレンジされたのか聴き比べてみるのも一興。原曲が非常に尊重されているが、フェネスの音が加わったことでだいぶ印象が変わったものもある。
教授の近作はほぼ例外なく非常に冷たい響きを持っていると感じるが、その響きにフェネスの繊細なテクスチュアが融合している。
氷のような響きが暑いときのBGMにも適しているかも。