デザインの独創性と機能の革新性が融合した未来派クックウェア。
高品位の食器づくりに長い伝統を持つ独フィスラーが、本品を含む「インテンザ」シリーズを発表したのは2005年。欧米では工業デザイン界の注目度が高く、多くの賞を受賞した(ただし本ページにある「1996年のGマーク受賞」は誤り)。直接のライバル関係にあるWMFも同様の水切り機能を持つ「FUNCTION 4」で追随している。
機能上の特徴はこのページの拡大画像にある通り。蓋は片手でつかみやすい把手を持ち、90度回転させることで「完全密閉状態」と「半密閉状態」が切り替え可能。完全密閉では無水調理が、半密閉では蒸気抜きと水切りができる。
また蓋の把手は左右どちらも本体の把手に引っ掛けることができ、垂直に保持できる。調理中の手狭なキッチンが広く使える優れたアイデアだ。
蓋には内部の温度を色で知らせる窓が設けられ、摂氏75度と100度で赤の色調が変わる。この「サーモスター」の備えは販売国によって異なり、本国ドイツではなぜか非装備。米国や日本では標準装備のようだ。
本体の縁は幅広になっており、汁ものを別容器に注ぐ場合に液だれがしにくい。これは他のフィスラー鍋にも見られるコンセプトだが、本品ではフランジ(つば)がさらに広く、密封性が高くなっている。多層構造による熱効率の高さも他のフィスラー鍋と共通のもの。
さて実際に使ってみて、上記の機能がすべて活かせるかというと、これは個人差があると思う。私の印象での利便性は「額面の半分くらい」。むしろ蓋の把手の掴みやすさ、収納時の把手の低さが秀逸であった。なお本体の把手はガスコンロではかなり熱を持つため、IHでの使用に向いている。
本品の価値は個々の機能そのものより、それらが結集して美しいフォルムを形づくっているところにあり、その点でWMFなどに差をつける。ある意味これはデザインで選ぶ製品で、機能は付加価値と言えるかもしれない。
残念ながら「インテンザ」シリーズは日本での販売が終了とのこと。フィスラーには本品と同様のデザインと機能を持ち、ガラス蓋とクロームの把手でさらに美しい「ソレア」があるが、そちらはちょっと手の届きにくいプライスゾーン。また取り扱い店もたいへん少ない(限られた販売店にしか出さない方針か?)。
レビュー投稿時点で「インテンザ」は流通在庫のみのようだが、他国では販売が継続されており、公式サイトにも掲載されている。つまり廃番は日本の事情らしい。買い足しを望む愛用者のためにも、フィスラージャパンにはぜひ販売再開をお願いしたい。できればブルーの把手もラインナップに加えて欲しい。