藤原道山の音楽を数多く聴いてきましたが、この『Festa』の上質さは格別優れていました。
冒頭の「MINORI」の躍動感、東洋テイストを持ちながら、世界共通の収穫期の喜びの感情が迸るような豊潤な音に満ち溢れています。
J.S.バッハの「管弦楽組曲第2番」は、フルート独奏協奏曲の色彩が強い曲ですが、それを尺八(調性によって呼び名は変わるでしょうが)で違和感なく見事に吹き分けていました。先入観なく聴けば、フラウト・トラヴェルソにしか聞こえません。西洋音楽の調性ではない東洋楽器でこれだけ完璧に演奏しているわけですから、2008年から共演を重ねてきたフォルクハルト・シュトイデやシュトイデ弦楽四重奏団の奏者もさぞ驚いたことでしょう。
東洋楽器でバッハを演奏するというよくある企画とは別物の質感で、そこには真摯なバッハ像がくっきりと浮かび上がっていました。ヨーロッパでの聴衆の反応を知りたくなるほどの完成度です。
「虚空」こそ和の極致ですし、大島ミチルの西洋楽器の使い方も素晴らしく東洋の音楽美を世界に披露しています。
「Lune」で演奏された幻想的で美しい印象派的な音楽に藤原道山の感性が呼応していました。
「ルーマニア民族舞踊」は短い曲の集合体ですが、藤原道山の音色が西洋と東洋の音楽の仲立ちをしているようでした。素敵なバルトークを聞かせてもらいました。
藤原道山作曲「月下竹韻」の雅楽の調べのような曲想が幽玄な音楽空間を造り出していました。神秘的で印象的な佳曲です。弦の扱いも巧みでした。
大島ミチル作曲「La Festa」はタイトルにも使用されていますが、土着性の強い祭の喜びが伝わってきます。強いリズムが醸し出す躍動感はリスナーの心も揺り動かすもので、音楽の切れ味が半端ではありません。
カザフ民謡「燕子-Swallow-」の中央アジアの音楽がウィーンと日本とを上手く結び付けてくれました。