"Crowded House", "Temple of low men", "Woodface", "Together alone"、そしてベスト盤"Reccuring dreams"と"Afterglow"という未発表曲集を出して活動を休止したニュージーランドのバンド。私がリアルタイムで聴くことができた最高のバンドといっていい。1996年にシドニーで行われた最後のライブが2006年にリリースされた。シドニーといえば同じみのオペラハウスに12万人のオーディエンスを集めて行われた。今や日本では知名度としてイマイチのこのバンドが、母国とオーストラリアでどれだけ愛されてきたかがわかる。"Together alone"のときのメンバーで、これまでの名曲達が、比較的淡々と演奏される。しかし、"Better be home soon"でのオーディエンスとの合唱、そして最後の曲であり彼らの最大のヒット曲、"Don't dream it's over"の合唱の後に訪れる何とも言えない虚しさと悲しみ、この瞬間が止まってほしいと思わずにはいられない寂寥感に、何度聴いても泣いてしまう。
彼らの曲は、「なぐさめ」を与えてくれるものが多い。このバンドがアメリカでヒットするきっかけをつくったのは、カレッジチャートだった。もちろん、その前にSplit Enzとしてイギリス圏ではそれなりに知られていたわけだが、アメリカでのヒットは、そういうキャリアとは関係がほとんどなかったはず。"Don't dream it's over"は、将来に不安を抱くだろう学生達にはまさにストライクな詞である。そんな思いを、おっさん目線でありながら、世代のギャップなどを一切感じさせずに曲に昇華できるところだけでもすごい。ただのおっさんではない。
これを書いている時点(2008年5月)で、Crowded Houseは再び活動を開始しているが、たぶん、色々な意味で、この頃の彼らにはもう戻らないだろう。Paul Hesterが亡き人となった今、オリジナルメンバーで演奏することは不可能だ。この作品は、彼らなりの区切りなのだと思う。そして、これからも最高のバンドであり続けてくれる決意でもあると思いたい。現に、"Time on earth"は素晴らしい。
彼らのファンであれば必携、そうでない人も、せめてご一聴いただきたい作品だ。DVDも出ていて、そちらのほうが楽しめるかもしれないけど。