はじめに
筆者は、1990年に神戸で独立開業した公認会計士・税理士です。文字どおり裸一貫から立ち上げた筆者の事務所は、20年以上の歳月が流れ、10人近い若いスタッフを抱えられるまでになりました。
自分自身が独立をしたときに苦労したこともあり、事務所では特に新規創業を志す人たちへの助言・支援に力を入れています。これまで、多種多様な法人(会社)の設立や、数多くの新法人の税務会計顧問を手がけてきました。
そうした新規創業を志す人たちからの相談で、2000年代後半から目立ってきたのが「個人投資家(個人トレーダー)によるFX(外国為替証拠金取引)トレードのための法人設立」です。
正直な話、初めてこの相談を受けたときは、少しばかり驚いたことを覚えています。当時はFX投資家による脱税事判がよく報道されていたので、FXの存在自体は知っていましたし、またFXの個人税制が原則として総合課税であり、利益によっては大変な税負担になることも、もちろん知っていました(2012年分から申告分離課税に変更)。とはいえ、FXをトレードするために法人を設立するという発想はなかったからです。
今思えば「目からうろこ」とは、まさにこのことでした。筆者なりに、その可能性について、いろいろと調べていくうちに「FX法人設立には節税のメリットが十分にある」という確信を深めていったのです。
以来、ブログなどでFX法人設立についての情報をコツコツと発信し続けたところ、全国から法人設立と税務顧問の依頼が寄せられるようになりました。そして経験を重ねていくにつれて、FX法人に適した設立・運営・経理・節税に関するノウハウが蓄積されていったのです。
一般事業法人の設立や節税に関する書籍は、すでに多数あります。しかし、FXに特化してまとめた類書は、ほとんど見当たりません。
テーマを絞れば、非常に多岐にわたる制度のなかから枝葉末節と思われる部分をできるだけ省き、より大切なところを重点的かつ実践的に説明できます。そこでこのノウハウを体系化して本にまとめれば、多くの投資家に喜んでもらえるのではないかと考えました。これが本書を企画した一番の理由です。
2012年1月から個人のFX所得に対する課税は、20%の申告分離に一本化されました。総合課税から申告分離課税に変わったことで、FXで大きな利益を出している個人投資家にとっては朗報かもしれません。
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