本書は、できるだけリスクを減らした上でFXをするよう、呼びかけている本だ。より儲けたいと思うのは人間の性だが、同時に、人間はミスをする生物でもある。ハイリスク・ハイリターンが可能だからといって、そうするのがFXのすべてではない。「堅実に資産を形成するために」著された本書は、FXでの立ち位置がひとつでないことを示してくれる。
本書は2時間もあれば読める。新書版で160ページくらい、ひとつの「鉄則」を2ページ(そのうち1ページは、4コマ漫画)で解説している。内容も、それほど高度なものではない。「市場にいるのはアマチュアだけではない」「少額投資にも大きなリスクがある」「予測材料がないときは取引を控えなければならない」など。要は、FXはそんなに甘いものではないから、自分が投資家であることを踏まえて、それ相応に勉強しなさい、というわけだ。したがって本書は、FXを始める前か、始めはしたが迷って立ち止まったときに、読むといいだろう。
「これで儲けました」という本が多い中、「こうしたら失敗する」と忠告する本書には、存在意義がある。ただ、FXをやった人の多くは損をし、得をした少数の人も、目標金額を達成したらさっさと引き上げていたりする。私には、FXをやること自体を避けた方が、多くの人にとっては賢明であるように感じてしまう。また、表紙に「主婦が教える」とあるが、著者紹介の欄では真っ先に「マネーアドバイザー/作家」とある。著者自身が、FXを過度に簡単に思わせようと誘導しているのでは、という疑念も浮かんだ。
山崎元『超簡単 お金の運用術』のFXに関する140ページ以下には、こう書かれている。「為替レートの先行きを予想することは、専門家も含めて、非常に難しい。」「外国為替は、よく分かっている人が、まさにカジノに出入りするような対危険感覚を持ってやるならいいが、資産運用としてやるものではない。」「(外国為替は)市場参加者が、お互いの見通しの違いを基にリスクを取って賭けているだけだ。」資産運用の方法として、自分が選択すべきなのは本当にFXなのか、よく考えてみることが必要だろう。