まず印象的なのは名盤「アーバン・ヒムス」のヒットシングルのようなアンセミックな「歌モノ」はほぼ皆無であること。
どちらかというと1st,2ndの頃のような深いサイケの霧が立ち込めていて、リズム隊が刻むミドルテンポを基調にバースト・ギターの残響がアルバムを通じて渦巻いている感じです。
それでは「アーバン・ヒムス」期〜ソロ時代に際立っていたリチャードのポップメロディ志向は、今作で封印されてしまったのかというと、決してそうでもなさそうです。
キャッチーさゆえにアルバムからは浮いているともいえる#8「バリウム・スカイス」と先行シングルの#2「ラヴ・イズ・ノイズ」の2曲。特に後者の#2はちょっと浮きすぎなほどカッコいいです。軽快な4つ打ちビートに、ループするコーラス、とにかくアッパーにダンサンブルに展開するシングルヒット間違いなしなキラーチューンで、「ビター・スウィート・シンフォニー」と並ぶライヴ・ハイライトになっているのはサマソニ東京はじめ再結成ツアーで証明されています。
しかしながらアルバムの基本構成は、モノトーンに鳴り響く気だるいグルーヴのジャムセッション的な広がりであり、中には8分を超える大作も。
ひとたび本作を手に取れば、スピーカーから流れてくるのは、11年の歳月を経て「再生」したヴァーヴが鳴らす恍惚であり、そのサイケデリア・ノイズの洪水に酔いしれることは必至です!
*ボーナストラック2曲収録。