この本は盆栽を題材に作られた写真集ではありますが、盆栽を鑑賞するために作られた写真集ではありません。
例えば盆栽は鉢と樹を合わせて鑑賞するものなので、写真に取る際は鉢も全て写真におさめるのが普通です。
ですがこの写真集は必ずしもそうではありません。
何故ならば、この作品集は盆栽の写真を通じて何か別のものを表現しようとしているからです。
ですから盆栽の一枝だけを写真におさめた作品もありますし、また色彩もごく抑えられた独特の雰囲気をもつものになっています。
ですが、作者は盆栽というものをないがしろにしている訳ではないと思うのです。
むしろ逆で、盆栽の持つ生命感、自然美に敬意を払っているからこそ今回のような表現になったのではないかと想像できる面があります。
この写真集を盆栽の名樹を鑑賞するための本として買うと後悔するかもしれません。
しかし作品から盆栽を通じて作者が表現したかったものを汲み取った時、また盆栽の魅力も再発見できることでしょう