Folk Songの新規レコードのアンソロジーにありがちな評に「その時代背景を持たない歌手が歌うために、曲に力がない」というものがある。このアルバムも残念ながらその域を出ていないと言えよう。
「ロックグループ」メンバーである「たいせー」プロデュースによるこのアルバムは、その選曲、構成においてオーソドックスながら非常に良い選択をした。学校教科書に採用されている曲や、定番曲、また『モーニング娘。』のナンバーである「ふるさと」を挿入するなど、Folk Songになじみのないものでも、肩肘張らずにその世界に触れることのできる楽曲をそろえており、この点では見事!と言いたいほどである。
しかし、シンガーソングライターを目指して脱退したはずの市井の軽快な歌声は、Folk Songが持つ魅力「その時代の悲しさ、叫び、希望的観測」を伝えることはできなかった。
これは現代においてFolk Songを再構築することの難しさを物語る。
安田を筆頭に、安倍、飯田の持つ安定した音声を用いず、市井、中沢の軽妙な声色を採用したのは、イメージ上は正解だったのではないか。実際たいせーによって構成された曲はいずれもポップで明るい。
しかし、サブの中澤が彼女の声色のおもしろさを示す一方で、市井は本来曲の持つリズムや詞の感情を伝えることを成功したとは言い難い。
例えば、6曲目の「花と小父さん」を、畠田理恵版や植木等版と比較してみたとき、そのリリカルな表現を果たして視聴者対して提示できているといえるだろうか。これは市井とたいせーの消化不足に他ならない。
とはいえ、このアルバムは特に小学生中学生の、Folk Songを知らない世代に訴える力は持たないとしても、その入り口になることは十分にありえる。
このアルバムを楽しんだ人が、過去の曲としてではなくこれらの曲になじみ、原曲や他のカバーを聞いて聞き比べることがあったなら、それだけで十分に価値があるのではないだろうか。