地下鉄で暇つぶしに読むために購入。十六人の執筆者のうち、私の知らない作家さんが七割ぐらい。できばえは玉石混淆でしたが、どれも短くて読みやすい。全体の印象は、商品として一定の水準に達しています。
私見ですが、平山夢明、福澤徹三、黒史郎、円城塔など、筆力の安定した作家さんの作品が、やはりいい。冒頭の朱野帰子の美容室の話も印象に残った。紋切り型の表現が多いのはすこし気になるけど。かでなれおん嬢は、文章の素人にしては悪くない。ライターさんの手が少し入っているかも。
そして、なによりも特筆すべきは、3月11日の東日本大震災で被災した黒木あるじが、3月21日に執筆した一篇を寄せていること。おそらく、被災地を舞台に、いちばん早い時期に書かれた作品として記憶すべき小品となるだろう。まさに作家の業を感じる。
ところで、二人の書き手の作品に誤植がいくつも集中しているのは、なんでだろう。その人たちだけ、著者校がなかったんだろうか。まさか。なんだか不思議。