クロマニヨンズも今作で早3作目となるアルバム。他のバンドなら、そろそろ違った路線へと踏み出す時期でもあるけど、クロマニヨンズは今回も全く変わりません。相変わらず子供のように能天気で、真っ直ぐで、純粋な曲が勢ぞろいしています。とても20年以上のキャリアを持つ二人が書いた曲とは思えないエネルギーと初々しさ。どうしたらこんなピュアな世界観を維持できるのか、改めて不思議です。
「エイトビート」「スピードとナイフ」では、クロマニヨンズでは珍しく(笑)真摯なメッセージが込められていますが、後は今までと殆ど変化は無し。しかしマンネリ感を全く感じさせないセンスにはひたすら脱帽ですね。特に目玉は前半。パンキッシュな曲を連発させるこの流れは、現時点のクロマニヨンズでは最高傑作と言っていいでしょう。後半からは一転して若干緩やかな曲のみとなっていますが、この流れにも思わずニンマリとしてしまいます。スピードの速い曲だけがロックンロールじゃないんだというメッセージのように聞こえて。
それからリズム隊の活躍も更にめざましいものになっています。「独房暮らし」「海はいい」「スピードとナイフ」ではベースが大活躍しますし、「ぼうふら」では高速ドラムも炸裂したりと、バンドとしてのグルーブがさらに増した印象を受けます。やはりクロマニヨンズは四人揃って初めて成立するんだと改めて思いました。
もうひとつ思うのが、録音状態がどんどんアナログな方向へ向かっていること。巷の、ひたすら爆音で音をかき鳴らしてるバンドのCDに反して、いい意味で録音がどんどんチープになってるなあと感じました。特にシングルの「スピードとナイフ」は、このご時世によくこのモノラルな音質でシングルカットしたなと(笑)おそらくこれは彼等が影響を受けてきた60・70年代のロックに対する彼等なりのオマージュだと個人的には思っていますが、こんなところもやはりクロマニヨンズなんだなあと。世間の流れをひたすら無視して、どんどん先祖がえりして行くところが、いかにもクロマニヨンって感じでいいですね。
未だに世間ではブルーハーツやハイロウズと比較して、クロマニヨンズを過小評価する向きがいて正直ウンザリしますが、バンドが変われば作風が変わるのは当たり前ですよね。個人的にはどのバンドも好きですけど、そういう「ブルーハーツ・ハイロウズの亡霊」に憑り付かれている人にこそ、敢えてこのアルバムを聴いて欲しいです。ヒロト・マーシーの二人は、今が一番充実しているということが分かるはずですから。