本書はFBIの歴史をその創設以前から丹念に追ったものである。全体的なトーンとしてはFBIに批判的な記述も見受けられるが、それは著者のジョーンズ教授がもともとアメリカの左翼運動に関して研究をしており、FBIは逆にそれらを監視、取り締まる立場にあったからであろう。しかしそのような著者の立場を差し引いても、本書はFBIの通史として読み応えたっぷりであるといえる。多くのFBIに関する書物がCIAとの確執や、半世紀近くFBIトップの地位にあったフーバー長官に焦点を当てているのとくらべると、本書は前史から9・11以降の動向まで知ることができるので、とても興味深いものに仕上がっている。