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物語の途中に、多数の写真やカラー刷りのページや、中央に文章が一行だけのページがあると思えば2ページ続けて数字だけ(!)という斬新な試みが施されて、NYテロ攻撃で父親を失った主人公のオスカー少年の、ほとんど肉体的な痛みといっていいほどの喪失の苦悩が、はじめから終わりまで生々しく迫ります。通常の小説の形態とちょっと違うこの作品の作者はインタビューで「9歳のオスカーがみたNYテロ攻撃」をそのまま表現するためにオスカーが撮った写真などを随所に挿入したり、「赤いペン」など物語中に登場するカラーインクを使ったページを作ったと答えていました。確かに「効果的」です。
ただ、画像が引き起こす戦慄と、文章によって刺激される感動は、別のものであり、純粋に小説を楽しみたいと思っていたので、残念でした。
本好きな人には薦めると思いますが、個人的には嫌いでした。
アメリカ国内の書評雑誌で、フィクションの題材(おもにNYテロ)が引き起こす嫌悪感について「主人公のけなげさでなんとか逃げ切っている」と評されていましたが、私も同感です。本書の主人公オスカーは、確かに新しいアメリカンヒーローの一人だと思います。
NYテロと並列にドレスデン空襲や広島原爆攻撃のシーンが出てきますが、敵に攻撃を受けた都市として共通することよりも、この本から、NYはそれ以外と傷の種類を異にする印象を受けました。それは多分、土地の違いよりも世代の違いなのかもしれません。父親の死を受け入れたくないオスカーの必死のNY探索が、モールのゲームショップに並ぶRPGと同じくらいこの世代には現実的なのでしょう。手にとってずっしりと感じる重みは、読書の重みではなくビジュアルの重みであり、刺激的な展開も手伝ってすぐに読みきれる作品です。
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