ストーンズの充実期と多くのファン達が主張するM.テイラー在籍時代、中でもLIVE盤と並んで評価の高いのが本作「表通りのならず者」なのである。前作「スティッキーF」は初のストーンズ・レーベル発売アルバムとあってかなりコマーシャルなセンスに導かれた快作であったが、それに次ぐ本作はまさにアーシーでラフなストーンズのロックの本領発揮、彼等の本音のロックを自前のモービル・スタジオで録音したものである。
シングル盤として「ダイスを転がせ」がそこそこヒットしたが、アルバムはシングルの恩恵なくしても、その纏まりにおいて統一された音で繋がれた傑作となった。そして期待通りテイラーのギターはそこかしこで光り輝いている。ブルース曲でのスライドやソロは言うに及ばず、ベースも弾くし作曲にも名を連ねるようになっている。
アルバム全体を貫く音はどちらかと言うとクリアーで煌びやかなものではなく、モノトーンを思わせる一塊になって飛んでくるような音に支配されている。だからステレオ録音でもモノラルを聞いている錯覚に陥る。
レコードでは2枚組みだったのでヴォリュームも満点だし、曲調も色々あって、カリブ海風、カントリー調、正調ブルース、ゴスペル風、ロックロールとごちゃ混ぜの感があり混沌とはしているが、狙いは混乱していない。
どういう訳か本作のみでこのような音作りが貫かれ、次作からはまたクリアーでポップな録音に戻っていく、だが、振り返って見ると、この雰囲気こそがJ.ミラーの作り出した世界であったようだ。「乞食の晩餐」で感じた重苦しさのようなものと同じものがここにある。
でも、その重苦しさはハンディにはならずアルバムを特徴付け、音に力強い印象を持たせることに見事に成功している。
そしてアルバムは最後に最高の盛り上がりを作り出している。「ハッピー」まで聞いた後、少し中だるみを感じる人がいるかも知れないが、その後にしっかりと盛り上がりを持ってきている。まるでスタジオでの仮想コンサートのような構成だ。
テイラーの音楽的影響が高く評価される時代の代表作にはミラーの貢献にもけっこう捨て難いものがある。
そう結論付けておきたいアルバムである。