この録音はすでに半世紀も前のもの。
ポリーニの出現によってピアニストに求められる演奏様式が大きく変化したということがこの録音で証明できる。
テクニック的には70年代からのポリーニの完成系がこの時点でほぼ出来上がっていることは確かだ。
この後彼はミケランジェリの強い影響を受け、一つの楽曲を極め完璧を求める求道者のような演奏家に変貌していったのではないだろうか。
その最も強い影響を受けた最初期の録音が何テイクも録音されたと推測される72年DG盤なのではないか?
60年盤の魅力は別れの曲やop.10-6での清々しいリリシズムやカンタービレは後年の演奏では失われてしまったものであるように感じるし、またDG盤では異常なまでのテンションで演奏されているop.10-4,8 op.25-12などここでは自然で細かなニュアンスを持って美しく演奏されている。
ポリーニの原点を知る上で興味深い録音。