エスぺランザ・スポルディンは、この3年間で立て続けにアルバム3枚を出したバークレイ音大出身の黒人アーチスト、で今年26歳。このところ女性でベースを弾きながら歌うというのもニッキ・パロットなど時代の変化なのかもしれないが、エスペランザは歌、ベースとも天才級の実力。
オバマ大統領がファンらしく、これまで2回ホワイトハウスでプライベートライブを開催、昨秋にはトニー・ベネット、ステービーィ・ワンダーらと出演し、弾き語りを披露、トニーらの歌の伴奏もこなしている。まあ、エリザベス女王がケイティ・メルアのファンで宮殿コンサートを開いたのと同じような意味合いかも知れないが・・。
曲で一番いいのは本アルバムのデビュー作「アイ・ノー・ユー」だと思う。曲・歌詞とも現代的でニュージャズに近いものでありながら、スリル感があり基本はストレートジャズの雰囲気十分なのだ。あとは佳作多数。
この人はスキャットが特に上手く、現代では珍しいタイプかもしれない。中高音の声域だがハスキー感豊かで、とにかくセンスがいい。ナンシー・ウィルソンの若いころとどことなく似ている。
ベースは大型のウッドとエレキの両方をこなすが、メロディラインを多用して、歌と並んで変化がある。エレキはチョッパーこそしないがマーカス・ミラー風で、躍動感がとても女性とは思えない。
ルックスはとてもチャーミングで、お洒落のセンス抜群で明るい性格なのだろう。これで「ボディ・ソウル」や「枯葉」などのスタンダードも独自の解釈でこなしてしまうのだから恐れ入る。
一つ難点はベースのメリハリだが、若いからこれも難なくクリアーしていくだろう。
★追記=エスペランザ嬢、2011年2月の第53回グラミー賞で4賞の1つの最優秀新人賞を獲ってしまいました。ジャズ界では最近珍しく活躍を期待。