今話題の映画『エラゴン』の原書です。また二巻は読んでいないので、一巻単体で評価します。
この作品の英語自体は平易且つ素直で、時々辞書の助けを借りれば、途中で詰まることなく読めます。ひねった言い回しや、芝居がかったくどい言い回しはありません。物語は竜の卵を偶然手に入れた少年エラゴンの成長と冒険と運命を描いたもので、良く言えばオーソドックス、悪く言えばありきたりな作品です。(モンスター、亜人種、伝説の勇者、剣と魔法など、幻想文学やRPGでお馴染みの要素は、一通り揃っています。)『エラゴン』は、それなりに面白いのですが、難点が幾つか見られます。まず、物語が全体的に盛り上がりに欠けることです。物語の序盤〜中盤は、世界観や各種設定の説明と移動シーンの描写にページを割いており、冗長な印象を与えます。時折、戦闘シーンが挿入されますが、迫力も緊迫感も少ないです。戦闘シーンの前後の描写も、ワンパターンに陥りがちです。それから、エラゴンが簡単に万能戦士になってしまうため、強さのありがたみが伝わりにくいです。既存の作品との類似点も目につきます。素人目にもはっきり分かるほどです。何故か、キャラに感情移入しにくいです。キャラが自分の心を素通りして行ってしまうのです。…この作品は硬派路線ではないようで、特別重苦しくもないしダークでもない。むしろ単純に娯楽として気楽に読めます。(小説というよりRPGっぽい部分も多いです。)硬派の作品を求める人には不向きかもしれませんが、気楽に読める冒険ものを求める人にはお勧めできます。『エラゴン』は、ある部分では私の期待を裏切った。でも同時に、私の好奇心を掻き立てもしました。未解決の謎が二巻以降でどのように解けるのか。一巻で私が持った作品への印象が多少なりとも変わるのか。変わるとしたら、どう変わるのか?一巻の美点と二巻以降への期待を鑑みて、星四つにします。