米国救急医学会が総力を挙げて編纂し、何回も改訂を重ねているだけあって、内容は正確かつ新しい。全体のバランスも取れている。扱う領域に関しては、日本の救急医学をイメージする人は面食らうかも知れない。重症治療学ではなく、救急外来学である。入院治療や手術には一切触れていない。しかし救急外来で遭遇する可能性のあるものについては、分娩、小児、眼科、耳鼻科、皮膚科、歯科、慢性疾患に至るまで記載がある。彼我の医療制度の違いなども垣間見ることができて面白い。
索引が少し弱いのが玉に瑕。もちろんエキスパートともなれば、これ1冊では足りないが、これをマスターすれば大部分の救急患者は自信を持って診療できるようになるだろう。残念ながら日本にはこれに相当する教科書がまだ生まれていない。