ワーナーからの解放、マイテとの結婚、子供を待望する気持ち。
天才プリンスが「人間宣言」をした傑作。
「もの足りない」というレビューが目立ちますが、これもまた天才芸術家プリンスの
他ではなし得ない頂きに存在する作品に違いないと思います。
ぴったり12曲60分の3枚組。
そんな遊びに一体何の意味があるのか?
でも、そんな遊びをやりたくなるような高揚感が当時のプリンスには間違いなくあったのだと思うし、
自由を謳歌する中での心の余裕のようなものが存在していたのでしょう。
一人で製作したとされていますが、特有の密室感や粘着感、暗闇でのセックスや憎悪といったものは
まったく感じません。ブラックアルバムと対極に位置する作品といえるでしょう。
風が抜ける青空の下でのセックス。ドキドキする告白。子供を作ろうと言う純な気持ち。
君を愛するという誠意。ポジティブな奇跡。
従来のプリンスファンからすると「なんだこれ?」と思ってしまうかも知れませんが、
これまでのプリンスも、どこかファンタジックで予定調和的な幸せソングを実は多く放っていることに
気付いて欲しいと思います。
ただし、それらの「ゆるめな」曲たちは、概ね評価が低く(プリンスとしては、という意味ですが。)
「この曲さえ無ければ良いのに。」という意見がささやかれていたことも事実なので、
そんな「ゆるめの」曲がたくさん詰まった本作が「期待はずれ」とされてしまうことは、
残念でもありますが、よくわかる気がします。
しかし、全ての曲の全てのパートに丁寧に向き合って作られた、プリンスならではの安心感、安定感を
全編に感じることのできる、まさに人間プリンスを高らかに宣言する傑作であることに疑いの余地はないのです。