このエルダーのデビューアルバムは2004年の録音で、私の敬愛する故マイケル・ブレッカー氏(ts)が本アルバム中の1曲「ポイント・オブ・ビュー」に参加しているのを知って購入した。ところが、アルバム1曲目のトリオ演奏「スイート・ジョージア・ブラウン」の高速ピアノを聴いた瞬間に当時18歳の若きピアニストの音楽的、技術的に極めて高い能力に圧倒されてしまった。彼の高速ピアノは1音1音の粒が全くつぶれず、ミスタッチが全く無いのだ。全く危うさの無い彼の高速ピアノにはスリリングという言葉が当てはまらない。寧ろ高速のエクスタシーという表現が似合いそうだ。そのスピードを支える左手のバッキングはまるでジョン・コルトレーン・カルテットのマッコイ・タイナーのような力強さである。この衝撃は1995年に「イントロディーシング」でデビューしたブラッド・メルドー以来かと思う。更にエルダーの演奏技術はブラッドを超え、彼の生み出す甘美なメロディーラインはジャズピアノの域を超えている。今年2011年に発売された「スリー・ストーリーズ」に収録されている「ラプソディー・イン・ブルー」の演奏を聴けばその腕前がチック・コリアやキース・ジャレットのクラシックとは一線を画するレベルであることが分かる。