1954年から1957年にかけてプレスティッジ、ブルーノートで発表されたソニー・ロリンズのリーダー・アルバムLP8枚分をCD4枚に収録した徳用盤。豪快さとくつろぎとスピードと知性が絶妙にブレンドした50年代ロリンズのサウンドを満喫することができる。また、アルバムにより異なる共演者のテイストの違いを味わうのも一興である。ところでアルバムの配列、せめて編年体にすればいいのにと私などは思うのだが、編者の意図は分からない。
(1)Moving Out(1954)
ケニー・ドーハム(tp)、エルモ・ホープ(p)を含むクインテットで4曲。セロニアス・モンク(p)を含むカルテットでバラードを1曲。
(2)Tour De Force(1956)
ワン・ホーンによるかなり荒々しい演奏である。マックス・ローチ(ds)との応酬がすさまじい。ピアノはケニー・ドリュー。2曲、アール・コールマンによる渋い男声ヴォーカルが加わる。わずか9日後に録音された(4)と聴き比べるのも楽しいだろう。
(3)Work Time(1955)
ワン・ホーンによる演奏。「ショーほど素敵な商売はない」や「イッツ・オールライト・ウィズ・ミー」の豪快な疾走感がたまらない。ピアノはレイ・ブライアント。
(4)Sonny Rollins Vol 1(1956)
ドナルド・バード(tp)、ウィントン・ケリー(p)を含むクインテットによる演奏。『Vol 1』というのはブルーノート・レーベルへのリーダー・アルバムとして1作目の意。5曲中4曲をオリジナルで固めている。
(5)Sonny Rollins Plus 4(1956)
ブラウン=ローチ・クインテットのメンバーそのままで、ソニー・ロリンズをリーダーとしたアルバム。3ヶ月後に交通事故で他界することになるクリフォード・ブラウン(tp)の演奏があまりにも輝かしい。ちなみに我々は今でこそ「マイ・フェイヴァリット・シングス」とか「いつか王子様が」といった三拍子のジャズ演奏をいくらでも思い出すことができるわけだが、1956年当時は三拍子で演奏することはそうとうチャレンジャブルなことだったらしく、「ヴァルス・ホット」は苦労が偲ばれる実験的作品。
(6)Sonny Rollins Vol 2(1957)
ブルーノート・レーベルへの2作目は、J.J.ジョンソン(tb)を含むクインテット演奏。ピアノは曲によりホレス・シルバー、セロニアス・モンクもしくは両方! (2)(3)(4)(5)(8)と過半数のアルバムのドラムスがマックス・ローチである中、本作ではアート・ブレイキーなのだが、□と○くらいニュアンスが異なっているのが面白い。モンクのバラード「リフレクション」が胸を打つ。
(7)Tenor Madness(1956)
(5)のわずか2日後の録音となる本アルバムは、1曲だけジョン・コルトレーンが参加していることで有名だが、基本的にはワン・ホーンでリズム・セクションががらっと替わり、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)という当時のマイルス・デイヴィス・クインテットのメンバー。当時の新進気鋭ジョン・コルトレーンとテナー・バトルを繰り広げる表題作のブルースが、実にすばらしい。
(8)Saxophone Colossus(1956)
ワン・ホーンによるあまねく知られた名盤。カリプソの「セント・トーマス」、スロー・バラード「恋の味をご存じないのね」、テーマの単音によるリズム・パターンがめちゃくちゃかっこいい「ストロード・ロード」、クルト・ワイルの「モリタート」、ミステリアスなブルース・ナンバーの「ブルー・セヴン」と、どの曲にもロリンズの魅力満載である。前述クリフォード・ブラウンの訃報がジャズ界を震撼させるのは、この録音のわずか4日後のことなのであった。