08年発表。Cymbals 解散後、三年もの期間を経て発表された沖井礼二による作品。もはやそのCymbalsの名前もほとんど霞んでしまっているような状態のため、正直なところもっと早くアルバムを発表すべきだったという思いもあるが、おそらく完璧主義の故の時間の経過。この素晴しい作品の前にはそれも止む無しだろう。演奏はほぼパーマネントなメンバーに、青野りえ、高津哲也などのゲスト・ヴォーカルを加える形になっており、メンバーの固定された一つのグループとはなっていない。これは過渡期と見るべきなのか、メンバーを固定せずに型を作らないようにしているのかは今後の展開で分かることとなるだろう。元Cymbalsの他のメンバーは参加していない。
1.はエレクトロニカとジャズを融合したかのような曲。2.はテクノとジャズを融合・・・というよりも『Sine』時代の曲をより今日的、かつド派手にしたような曲。久々にCymbals時代に感じた、鳥肌のような電気が体を突き抜けた。3.はもはやCymbalsそのまま。あのオルガン、ピアノ・・・そのままだが、ナゼ?こんなにも嬉しいのは自分でも良く分からない。4.はボサノヴァ。けだるい雰囲気もまた良い。5.はインディーズ時代のCymbals そのまま。ちょっと泣けた。
本作ははっきり言って最新のCymbals から一歩後退したかのようなノスタルジーを感じさせる仕上がり。まるで「やり残したこと」を次々と披露されているかのような感覚を受けるが、それが物凄く、本当に物凄く嬉しい。もし今後、Cymbalsの面々が集まり作品を発表してもかつてのマジックは起きないだろうが、本作を聞く限りでは沖井氏の作品にはそれがある。次作の発表も心待ちにしています。
裏ジャケットのデザインなどはCymbals時代を踏襲しており、元ファンには嬉しいところ。ちなみに10.は国際カエル年JAZA実行委員会公式キャンペーンソングとのことだが、その団体の存在は謎。