待ちに待った堂々の完結編。
合気道について語れるほどの知識が無いので、その方面での言及は避けますが、作中で触れられる合気道に関する心構えは、単純にその道を極めていく事の困難を語っているだけかと思いきや、作中のウメ少年や他の彼らが抱える共通の問題「人と人とが心を通わす事の難しさ」も同時に語っていたのだなと。今更ながら気が付きました。
ウメ少年の、どうしようもないくらい些細な事にどうしようもないくらいに臆病な姿。そしてそれらが如何に困難か。その向き合う姿は心に刺さります。
信じることの難しさ、自身の弱さを認めることの難しさ、相手へ己の気持ちを伝える事の難しさ、そもそも己の気持ちとは何であるか、何を願うのか。
虚勢を構えず己や相手と向き合う、向き合おうと努める話だ…と言うと印象が堅く、そして陳腐に聞こえそうですが、合気道を単なるスポーツ(武道)物として扱うのではなく、彼らの抱える問題やその克服を絵による描写、技の描写、心構えを以って実感、理解できるのが素晴らしかった。
そして問題の解決が、合気道はあくまでキッカケとしながらも、その心構えを基にするかのごとくそれぞれの心が向き合い、通じる事が出来たからとする辺りも同様に素晴らしく。ドラマと合気道との相性、組み合わせが非常に良かったし、何より必ずしも合気道でなければいけないとしない辺りも配慮が行き届いているなと感じました。
本作を知ったのは連載終了後なのですが、今回完結編の刊行を嬉しく思います。
捻くれてて、憎らしい、優しく、痛がりで、不器用さがもどかしくもいとおしい、そんな彼や彼女達が大好きです。
「キミのキモチにリンクする。」
読み終わってみれば、このキャッチコピーが如何に的を射てるかを実感。
執筆及び出版に携わった全ての方に感謝します。