すっかり浸透したためか、あるいは興味の対象とされなかったのか、EQの概念はIQほど話題にのぼらない。だが、本書にもあるように、「ビジネスの世界は感情抜きの知性を重視したがる」が、本来「人間の感情は知性よりも強い」のであり、マネジャーにとってEQ(感じる知性)を習得することはきわめて重要である。EQの高いCEOの方がそうでないCEOよりも業績を上げている、という調査結果も紹介されており、リーダーシップにおけるEQの重要性を再認識することができる。
リーダーには知性や明晰な思考力といった要素も必要だが、「こうした基礎力がなければ、そもそもリーダーにはなれない」のであり、リーダーになった後、業績を上げるには、人間の感情を理解する能力や、意思決定の際に必要となる直観力を養う必要がある。人間の感情を理解し、優れたリーダーになるには、本書で述べられている6種類のリーダーシップ・スタイルを理解するのが近道である。これらのリーダーシップ・スタイルは、自分がどれかに属する、といったものではなく、「レパートリーが多いほど優秀なリーダー」であり、また時期や場面によっても有効性が異なるようだ。
著者によると、「EQリーダーシップ」は学習によって身につけることが可能である。前提としての「自己管理」をはじめ、「社会認識」「人間関係の管理」など、リーダーになる、あるいは育てるためのポイントが明らかにされている点は興味深い。広告業界の伝説の人物、オグルヴィをはじめとする、さまざまなリーダーたちのケースも併せて楽しみたい。(土井英司)
社会で成功するために重要なのは、IQではなくEQ(こころの知能指数)だ――IQ神話を覆した大ベストセラー『EQ~こころの知能指数』の著者、ダニエル・ゴールマン博士が、こんどはビジネスで成功するために最も重要な要素、リーダーシップの本質を解き明かした最新作の登場です。アメリカでは今年3月に刊行され、USAtodayなど各メディアの絶賛を浴び、たちまちベストセラーリスト入りした話題作です。
本書は3部構成。まず、第1部「六つのリーダーシップ・スタイル」で、ゴールマン博士は、同僚よりもはるかに高い業績をあげるスター社員3800人を徹底調査し、彼らの共通項を探っていきます。その結果、彼らが6通りの「EQリーダーシップ・スタイル」を状況に応じて使い分けていることが判明。それは――
◆ビジョン型――共通の夢に向かって人々を動かす
◆コーチ型――個々人の希望を組織の目標に結びつける
◆関係重視型――人々を互いに結びつけてハーモニーを作る
◆民主型――提案を歓迎し、参加を通じてコミットメントを得る
◆ペースセッター型――難度が高く、やりがいのある目標の達成をめざす
◆強制型――緊急時に明確な方向性を示すことで恐怖を鎮める
つづく第二部「EQリーダーへの道」では、個人のEQを高め、「EQ型リーダー」になる方法を具体的に伝授。第三部「EQの高い組織を築く」では、さらに一歩進んで、組織や集団全体のEQを高めていくための手法件をさぐります。欧米有名企業の実例を豊富に盛り込んだ、実践的かつ画期的なリーダーシップ論です。
登録情報
|
本書では、組織行動論の立場はもとより、感情と知覚を持つ生物としての人間に立ち返り、大脳生理学、認知心理学にまで立ち入って論を進める。コッターに代表されるリーダーシップ論のグルの多くが提唱する組織行動論的な行動様式も、実際には自らの生理的な側面や内面を深く見詰め直してみないと、自身の問題点、課題を認識するには至れない。この点、本書は生理的な側面まで立ち入り、個人の行動の根源を深く探求されており、自己を振るかえる知見を提供する。
また、その行動特性についても、リーダーシップを6つに類型化し、フレームワークを提供するので、自らの行動を振り返る契機を提供する。すなわち、「ビジョン型」、「コーチ型」、「関係重視型」、「民主型」、「ペースセッター型」、「強制型」の6つである。それぞれについて、短所・長所、機能する場面等を明示しているので、自身のスタイルを振り返りながら、どんなスタイルを獲得していくべきかを再考するに足る。
加えて、本書では、自己省察、学習を非常に重視している。自己の感情、自分の長所や限界、自分の価値観や動機について、自分自身が深い理解を得るために、自己省察を勧める。
人間の内面に深く立ち入って論を展開する氏のリーダーシップ論は、実際、その理想として提示される領域に届くためには相当の努力と時間を要するだろう。しかし、人間の行動がその内面に端を発して採られる以上、この領域を再考しない限り根源的な対処策は得られない。そんな気づきを与えてくれる。
そんな状況の下で、さらなる売上げ増加・生産性向上を目指すためには、従業員(チームメンバー)のモチベーションを向上させ、やる気を引き出すことが必要になってくる。
この本は、いかにして「従業員(チームメンバー)のやる気を引き出せるようなリーダーシップを身に付けるか」を書いたもので、まさに「"現有戦力"でいかに戦うか?」という問題に直面しているビジネスリーダーにうってつけの内容だろう。
「やる気」などという定量化できないものをビジネスに持ち込んでも意味がないと思う人は多いかもしれないが、マネージメントにおいて「昔はみんなついてきてくれたのに、それと同じやり方が現在の職場(チーム、会社)では通用しない」という経験を一度でもすれば、重要なのは部下の持つ「スキル」ではなく、それを生かすための部下の「やる気」なのだということに気づくはずである。
もちろん、この本を読めばすべて解決する、というほど単純な問題ではないのだが、少なくとも、ただやみくもに自分流で突っ走ってきた人や、通りいっぺんのリーダーシップトレーニングしか受けてこなかった人にとっては、「自分に何が欠けているのか」「自分の考え方のどこがいけなかったのか」そして「今後どこに気をつけていけばいいのか」がわかる内容になっている。
もしこの本がバブルの頃に発売されていたとしたら・・・、ひょっとすると多くの人に読まれることはなかったのかもしれない。悩めるビジネスリーダー達にお薦めしたい、まさにこんな時代だからこそ、の1冊。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|