恋愛シミュレーションゲームを青春群像劇として再構築しようとした異色作です。
J.C.STAFF制作、カサヰ監督起用ということで、ありがちなギャルゲーアニメとは
一線を画すものになりそうだ、と当初はむしろ大変期待すらしていました。
しかし。原作を蔑ろにした設定変更、とりわけ青春群像劇を成立させるために
新規設定された男性キャラをはじめ、原作の作風・世界観を無視した改変も多く、
本編そのものをよく見れば実は彼らも案外好人物だったりはするのですが、
原作ファンからするとどうも違和感を払拭し切れない点が少なくないです。
そして肝心のストーリー。「ほろ苦い青春ラブストーリー」という触れ込みも、
「ほろ苦」というよりハッキリ言って「しょっぱい」というカンジ。
誤解を恐れず言えば、大学のサークルとかで部内の人間関係をさんざかき回した
挙げ句にデキたカップルと残された周りの人達、みたいな後味の悪さ。
ある意味リアル指向ではありますが、原作がどういった位置づけの作品なのかを
考慮すれば、もっとスイートな視聴後感の作品であるべきだったのではないか
とも思います。
とはいえ、カサヰ監督が得意とする女性キャラの繊細な心理描写はやはり秀逸で、
そこを生かしつつ原作に対するリスペクトを持ってちゃんとしっかり煮詰められて
いたならば、これはコレで良作になったのでは?という残念な気がしてなりません。
こういう方向性もアリというか、着眼点自体は悪くなかったと思います。
ちなみに、本作は原作で続編に相当するゲームをアニメ化した「アマガミSS」とは
作風も方向性も全く異なりますので、アマガミから本作に興味を持たれた方はご注意を。
私は個人的にはこのJ.C.STAFF版「キミキスpure rouge」には条件付き肯定の立場
ですが、「アマガミ」の方は作画や設定面から作品に漂う微細なニュアンスに至るまで
かなり原作に忠実に映像化されているのを観てしまうと、やはり原作シリーズファン
としては「キミキス」も「キミキスSS」としてAICにリメイクしてもらえないものか
…という気持ちにはなってしまいますね。