いい音楽です。
ベースは、ひらかれていてとっつきやすい普通のジャズ。
そこに施されたダブ処理も適度で、BGMとしても邪魔にならない。
そういう意味では、「大衆的」です。
ある程度、誰にでもオススメできます。
逆に言えば、この人の作品はすべてそうですが、
本人が見せようとしている本人のキャラクターや思惑ほどには、
作る音楽が尖ってない。物足りなさがあります。
ソロ作にしても、戦略も戦術も、豊富な引き出しの中身を駆使しているのに、
結局、組み合わせが珍しいだけの普通のジャズになっている。
音楽としての驚きがない。
強調しておきますが、いい音楽であり、いいジャズです。
先入観なくこれを聴いて、
訳がわからないという人も、いけ好かないという人も、おそらくいないはずです。
好意を抱く人がほとんどでしょう。
ただ、多少なりとも菊池氏本人の言動や活動を知っていれば、
この間口の広さが意図されたものなのかどうか、気にはなります。
「感動や信用は甘い菓子だからあまり食うな」という本人の音楽が、いつも、
きわめて上質だが食べやすい菓子のようだ、と言ったら言いすぎでしょうか。
それからマイルスリスペクトは、サイズ違いの服を着ているようです。
マイルスを再帰的に扱っている限り、
マイルス最大の魅力である「内圧の高さ」は立ち上がらないので、
上手いですが表層を消費してる印象がぬぐえません。
そろそろ、菊池氏本人が、「発明」に挑む時期ではないでしょうか。