まず溢れる澄みきった水のような歌声と、確かな表現力はこの作品でも健在。
この人の魅力は、音楽をあらゆる面から見つめることのできる「柔軟性」と、それを実際に形にできる「演技力」だと個人的には思っています。
このコンセプトアルバムでも、それは余すことなく発揮されているような気がします。
冬の夜の刺すような空気の冷たさ、どこかそわそわする年の瀬の喧騒、家の中の確かな温もり、誰かといるときにこそ感じる孤独感。
それらが一枚のアルバムにぎゅっと凝縮されていて、聴いている間ずっと胸が詰まるような想いでした。
特に「極夜」から「誓い」の流れは圧倒的な力を持って、五感に訴えかけてきます。
こんなに心にたくさんの情操をもたらしてくれる歌い手は、最近はなかなかいないのではないでしょうか。
ご本人にとっても人生の節目であっただろう今年だからこそ、完成したアルバムな気がします。
それまではどこか自由奔放な少女のようだったのが、「かぜよみ」以降から頑固さが抜けてとてもいい方向に大人になったと思います。
あらゆる意味で、坂本真綾というひとはどんどん美しくなっていきますね。
冬の夜聴くのにこんなにもふさわしい一枚はないです。
ぜひ手にとっていただきたいです。