ベストセラー『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』(大前研一訳)『
フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか』(玄田有史訳)などで人気のダニエル・ピンクの新作です。
・創造的な仕事で高い成果を出させるためには、内発的動機付けが、外発的動機付けよりも有効であること
・その例外の条件
・そのためには自律・熟達・目的の3要素が重要なこと
・それらを高めるために必要なツールキット
が書かれています。
面白い点とそんなに面白くない点をそれぞれ書きたいと思います。
■おもしろい点
これまでの作品同様、著者ピンクの良いところは、
(1)文章が面白い(ただ、これは、日本語版『
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』を読んだ方が楽しめるかと思います。)
(2)実践項目(「ツールキット」)が非常に充実していて豊富で楽しい
ツールキットは、「本人向け」「会社向け」「子育てする親向け」「勉強会向け」など、いろいろあります。
また、モチベーションを高めて、どうするのか? 何の能力を高めるのか? という問題がありますが、それについては、著者の『
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』を読むと良いと思います。
さらに、モチベーションの概念は、ややもすると安月給を正当化するために使われたりもしがちですが、その点、「給与が安いと給与に意識が集中するから、適正〜高めに設定せよ」と、かなり念を押しており、目配りも行き届いています。
■そんなに面白くない点
(1)第三のDriveである「モチベーション3.0」、そして、「I・X型」、「自律・熟達・目的」自体については、ピンクも紹介しているとおり、デシの内発的動機付けの「自律・有能さ・関係性」の3要素や、マクレガーの「X・Y理論」などの延長であり、あるいは、マズローの欲求段階説を思い出される人も多いと思います。なので、このあたりの理論が目新しいかといえば、勉強されている方には理論面では既読感があると思います。但し、先に書いたとおり、文章とツールで十分楽しめます。
(2)上述のとおり、給与は適正〜少し高めがお勧めとのことなので、ピンクは、飛び切り高額な成果報酬などを改善対象にしているように思われますが、日本でこれがぴったりピンと来るかどうかというと、やや疑問な感じもします。(日本では、むしろ、大企業の高額年功給や高額退職金などが当てはまるのかもしれません。(※このあたりは議論の余地あり)) 但し、そのあたりの状況が違っていても、役に立つものは役に立つので、問題ないと考えています。
結論としては、かなりお勧めの一冊です。
黒沢敏浩