第二次大戦後のオペラが定着したレパートリーに成り得るのかは、まだまだ議論のあるところであろう。ブリテンのものは定着しつつあるかもしれない。メシアンの『アッシジの聖フランチェスコ』は記念碑的傑作ではあると思うが、すでに現在ではその演奏形態はオペラとしててではなくオラトリオ的な機会が多くなりつつあるように思う。
このオペラもまた、定着したものになるかは分からない。しかし、シリアスではあるが晦渋過ぎはしない音楽、内容的には非常にシビアではあるものの決して分かりにくくはないシナリオ。ダナミックなバレエのシーンもあり、例えは悪いかもしれないが極めてシリアスなミュージカルと言ったら、言い過ぎだろうか?
ただ、我々日本人はこのオペラの幕切れに戦慄を覚えずには居られないだろう。淡々と読み上げられる日本語のナレーション。NHK特集『映像の世紀』第5集『世界は地獄を見た』の終結部と同様の、静かに毛が逆立つような戦慄といえばお分かりいただけるかもしれない。
このオペラを実際に劇場で体験する聴衆の大部分が、日本語を理解できない欧米人なのだろう。しかし、彼らにはこの日本語のナレーションも単なるエキゾチックな効果音にしか過ぎないのかもしれない。