パンク・ニューウェーブ全盛時に出された名盤。邦題は「美は乱調にあり」。ビーフハートとマジックバンドの魅力満載のアルバム。
ビギナーの方がいきなり聴いてもいいかもしれない。
基本形はドンのヴォーカルと2台の変幻自在なギターとロバート・ウィリアムズの的確で強力なドラムだと思う。
それと突然メロトロンやストリングスが流れ出すのが、何とも斬新。案外ザッパよりは、レッド・クレヨラやヘンリー・カウ、ディス・ヒートに近い音楽なのかもしれない。こちらの方がより自由でストレートだが。
参加メンバーは・・・
・エリック・ドリュー・フェルドマン:ベース、エレキピアノ、グランドピアノ、メロトロン、シンセザイザー
・ドン・ヴァン・ヴリート:ヴォーカル、バスクラリネット、チャイニーズ・ゴング、ハーモニカ
・ジェフ・モーリス・ペッパー:ギター
・ジョン・フレンチ:ベース、ドラム
・ロバート・ウィリアムズ:ドラム
・ゲイリー・ルーカス:フレンチ・ホーン、ギター
80年代前後、パンク勢に持ち上げられたりして、再評価の兆しがあったころの作品である。
全般にアグレッシブで音のメリハリがはっきりしており、力強くしかも大変聴きやすい。そしてこれはビーフハート&マジックバンドのクオリティを決して損ねるものではない。しかし長年彼らの音楽を聴いてきた者にとっては、「彼らは、実際何も変わっていない」というのが正直なところだ。
本作は当時、パンク勢に触発されたオールド・アヴァンギャルド勢からの回答みたいなとらえ方をされた作品であるが、それがとんでもない見当違いであることは、よく聴けば分かること。彼らは時代に迎合しているわけでも、ましてや触発されたわけでもない。音楽や芸術に対して飽くなき挑戦を独自のスタイルで貫いてきただけである。
それと、マジックバンドというと自分勝手にメチャクチャな即興演奏をしているという印象を持っている人がいるが、これも間違い。全く上っ面な解釈をしているとしかいいようがない。マジックバンドのパフォーマンスこそ、実は細部まで作曲された統制された音楽である。そして、このマジックバンドのレベルに迫る革新性を持ったパンク、ニューウェーブバンドが存在したのかは、大いに疑問である。今後も出ないだろう、多分・・・。
この作品を気に入った方は是非、60年代の初期作品「セイフ・アズ・ミルク」や代表作「トラウト・マスク・レプリカ」、「リック・マイ・ディケイルス・オフ・マイ・ベイビー」を聴いてビーフハートとマジックバンドの本質を体験して欲しい。
最後に・・・私はビーフハートの大胆不敵でストレートな絵がとても好きです。