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しかし、#1の”Man On A Mission”が流れてきたとき、そんな思いは吹っ飛んだ。ダリルのなんとみずみずしい歌声!これはまさしくホール&オーツの何物でもない。
しかも、曲が進むにつれ、「あの80年代の出せば確実にヒット・チャートの上位に食い込んだ曲調とも違う」ことにも気付いた。「心地良さと共に落ち着いて聴ける」のだ。サウンドを奏でるインストゥルメントがその頃の派手派手しいものとは違うこともあるが、この原因はアルバム解説に書かれた「80年代にヒット曲を量産していた時期は、とかくポップ職人としての手際の良さだけがクローズアップされたこともあるが、ここで聴かれる歌声、サウンドは実に人間臭い暖かさを感じさせるのだ」という東郷かおる子氏のコメントに集約されるだろう。
日本では「大人が聴けるポピュラー・ミュージック」はほとんどなきに等しい。しかし、ホール&オーツはこの”Do It For Love”を通してそれを見事に体現してくれた。この作品との付き合いは長くなりそうだ。
老若男女をとわず、オススメの一品!
特に中盤の8曲目から10曲目にかけて、自分たちのアコースティックの方向を軸にしながら、当節のミュージックシーンも見つめて出来上がったと思われる名曲がちりばめられており、総体的にどの曲をとってもスカがない。
Johnのソロアルバムに収録されたLove in a dangerous timeのリプロデュースもこちらが勝っていて、Johnのボーカルさえもいきいきしている。
ただ、このほうが売れる戦略であることはわかるが、できれば、日本盤限定のボーナストラックのPrivate Eyesは、アルバム全体のコンセプトを守る意味では入れないほうがよかった。
すれ違った誰かをもう一度振り返って見たくなる時のような気持ちにさせるアルバムで、一世を風靡した時代から一歩二歩引き下がって、職人としてのミュージシャン魂に徹した名盤として評価したい。
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