初の最新オリジナルアルバムである『BREAK』がリリースされたばかりの宮野真守。
当然1stに収録されるものと思っていた、宮野渾身の珠玉バラード曲である、
「Garnet」がまさかの未収録であったので、先にこちらをレビュー。
自身が主人公を演じている『鋼鉄三国志』EDテーマ「久遠」で初めてその歌声を
聴いた瞬間から、声優としては尋常でない歌唱力と表現力の持ち主であると実感。
それが、この本人名義の初マキシにて、さらに確信へと変わって行ったのを思い出す。
本業である声優業もだが、このまま立派に一アーティストとして大成していってもおかしく
ないくらいの出来。宮野曲としては最もキャッチーな真実を歌っている代表曲ともいえる、
タイトル曲の「Discovery」もだが、今回はカップリングの一つ「Garnet」を強く推したい。
本作における松井五郎による歌詞の存在は、やはり大きい。様々なアーティストを
手掛ける大御所作詞家ではあるが、各々の歌い手作品中で巧みな表現力を示しながら
自分自身を殺し、まさにその職人芸ともいえる手腕をもってして各アーティスト作品で
"演じ手"の力を最大限に引き出す。今回の声優、宮野真守の場合も「久遠」c/w「いつか」
もだが、一見地味のようでありながら渾身のバラード「Garnet」は必聴。松井独自の人生観、
とでもいえるのか、どこか諦念の中にありながら、それでも心に存在し続ける"目指す場所"への
強い思いが"Garnet"という光の存在として象徴的に描かれ、その一種壮絶なカタルシスは、
宮野が歌い上げる心の情熱により、声優ソング以上の確かな何かに高められ昇華されている。
「叫んで 跪(もが)いて...」――それでも、まだ続く道を諦めない。
絶望や諦念を歌うにはまだ若い宮野ではあるが、それでもサビの「You're the one,
We're the one」というくだりには、年齢や男女の違いを問わない普遍的ともいえる
人間存在の熱い思いが込められており、様々な人が共感できる何かがあるように思える。
その深い魂の真実に心から涙する、何とも言えぬ感動を味わったのは事実だ。
今回のフルアルバムでは敢えて未収録としたのだろうか、アルバムリリースに
先駆けて発売されたマキシ「君へ...」にも聴き逃すには惜しい良曲の存在が。
(特に「FIRST GATE」は本人の新たな可能性を開いたチャレンジング楽曲)それも、
ひとえによい楽曲に恵まれたという現実もあるが、やはり本業顔負けの宮野自身の歌唱力、
豊かな表現力の賜物であるという事実を最後にもう一度だけ付しておこうと思う。