若い人にはあまり馴染みのないギタリスト,マーク・ノップラー。
当時珍しいフィンガー・ピッキングでエレキギターやドブロを使いこなすスタイルで,頻繁にラジオでオンエアされたりエリッククラプトンのようにもてはやされたりすることはありませんでしたが,その表現力─スライド,トリル,チョーキング,ビブラートなどの基本的なテクニックをこれほど正確にしかも丁寧に聴かせる人は当時珍しく,パンクや早弾きにスポットが当たっていた時代 とても新鮮でした。ライ・クーダーやJ,J,ケイル,ロイ・ブキャナンやポール・サイモンなどと同様,他のミュージシャンに影響を与えたギタリストの一人でしょう。当初イギリスで人気が出なかったことが不思議な気もします。
彼はカントリー界の大御所チェット・アトキンスと師弟関係にあり(ポリスマンズ・サード・ボールとしてアムネスティから二人のライブ演奏がリリースされてます),彼の影響を特に大きく受けています。地味に自分のスタイルを貫いていた彼は その後AORの代表的グループであったスティーリー・ダンにレコーディングに招かれたり,チーフタンズと共演するなどケルト音楽を広く知らしめるきっかけを作ったりと,このアルバムをきっかけに飛躍し始めます。21世紀の今日でもまったく古さを感じさせない,ボリュームを上げてじっくり向き合ってみる価値のある一枚です。彼にぴったりな仕事といえば,映画音楽(ローカル・ヒーローのサントラ)も忘れることができません。
このアルバム,クラプトンがアルバート・リーを従えて武道館で演奏したSetting me upも収められています(Just one nightに収録)が,こちらがオリジナル。最後の一曲まで一切手抜きなし,情熱が感じられる一枚です。洋楽が好きなすべての方に 強くお勧めします