最初と最期。トレはその二枚がいいとおもう。元々、バッチィスティーが保守的なイタリア芸能界に一石を投じるため送り込んだ初のヤング・ロッカーたちなので、その目的からサイケなアート・ロック調、ハード・プログレ調、カンタトゥーレor歌もの調、とその時その時の流行りものを色々やってる訳です。一作目である本作もそういった流れから生まれたもので、日本の同時代のロック、西部講堂や野音なんかで鳴らしたバンドなんかにも通じる重たい”どロック”から、イタリアン・ポップスに通じる曲まで様々。しかし渋いのはこの若さ(10代〜20代前半)でこんな大人びた?演奏が出来たこと。これは当地に行ってご当地バンドを多く聴いて感じたことだが、イタリア・ポピュラー界の下地としてイタリアン・ジャズの興隆があるからかもしれない。その辺り選び抜かれての面子だろうが、トレのここでの演奏は大変立派なものだ。近年、再結成されたトレも観たがその後のメンバーの遍歴通り、本物のジャズ・ミュージシャン然としてました。ラディウスの侘び寂びの効いた脱力系の歌もいいが、トレではチッコの唄う曲が筆者は好きだ。今回訳詩がついてその泥ドル具合に当時のイタリアへの興味が沸いた。欧米を真似ても似ない、全く周りをみてないオリジナリティーがこの時代のイタリアにはあります。加えるとトレとバッチィスティーではキャリアの差はもとより本国での知名度も国民への浸透具合も全く違います。社長と専属アイドルの関係です。またトレはイタリアにおけるロックと同様にマイナーな存在、当地の人もあまり知らない場合が多かったです。