本作が世に出てから10年以上の歳月がたったが、トリビュート・アルバム史を語る際に不可欠の大傑作としての価値は不動だ。集まったアーティスト、曲の豪華さに驚く。彼女の生前の幅広い活動がいかに支持されていたか、彼女自身がいかに人々に愛されていたかを自ずと物語る。クラシック界からのトリビュート(ディスク(D)1M5にパヴァロッティが参加。D2M16、17はクラシックの曲をドミンゴ等が歌う)もあるが、多くはロック、ポピュラー界のスーパー・スターによるミディアムまたはスローテンポの曲。新たに録音された曲も数曲あるが、大半は既発表の曲。大ヒットした曲、当該アーティストの代表曲が多い。セルフ・カヴァーもある(D1M3、11等)。一番古い録音が70年代(D1M16)で、80年代の録音もあるが、大半は90年代を代表する名曲の録音。そういう意味では貴重な音のタイム・カプセルだ。亡き人を偲ぶ、または愛する人に感謝を捧げる内容の詞が多く、追悼アルバムという趣旨に沿った曲が並ぶ。しかし、追悼という文脈を離れても、魅力十分の曲・演奏ばかり。153分じっくり聴いても単調さは微塵もなく、心がリフレッシュされる。
本作のみのエクスルーシヴ・トラックとされていたのが、D1M3、4、6、11、13、14、17、18、D2M6、11、12、17、18の計13曲。しかし本作発表前に既に、または発売後現在までに、他の音源で入手可能となった曲もある(D1M6等)。私はディランの曲のカヴァーが好きなので、歌詞が追悼むきなのか疑問がないでもないが、ロッドがディランの超名曲をじっくりと歌い上げるD1M13が嬉しい。しかしそれも本アルバムの魅力のほんの一端に過ぎない。素晴らしすぎるトリビュートの鑑として万人に推薦するアルバムです。