9 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
歪みと揺れがやさしい, 2009/10/18
レビュー対象商品: Despondent Transponder (CD)
シューゲイザー=Loveless
というコピー文句、ギターが歪んで揺れるバンドは常にそれと比べられる
この現象いい加減辟易しています。
ビートルズ=サージェントペパー
パンク=勝手にしやがれ
野球=巨人
どこかの誰かが言い出した一般的な評価です。
私には全然違います。
確かにパイオニアではあるのでしょう。
しかし現在進行形で同じアルバムを造ろうとするミュージシャンはいるのでしょうか。
例外はいるでしょうが、ほとんどが自分の好きな音楽で自分たちの世界・音を創るのを目指していると思います。
マイブラ自体ニューウェイブギターポップ系の音でしたが、当時USインディーズで人気のH'sker D'やDinosaur Jrあたりの影響で音が変わったくらいで、音楽は時代とともにみんな繋がっています。ちなみにRide, Pastels, Teenage fanclub なんて一晩のメニューのライブハウスもありました。
つまり現在は現在進行形のシューゲイザーバンドや『今』の色んな音で影響しあっていると思います。
人はなぜ比べたがるんでしょうか。自分のものさしで。
あえて比べるならこの作品、マイブラにはない透明感と開放感に溢れています。
3曲目“Go And Come Back”ではslowdive のような流麗な曲もあります。
ドリームポップよりの音、歪んだギター、キーボード、透明感のあるやさしい女性ボーカル、
時折バックで聴こえるにゅるんとしたロングトーンのギターが好きです。
なによりメロディアスな曲が素晴らしい。
カリフォルニアの夫婦によるユニットです。
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5つ星のうち 4.0
正気の作品, 2008/9/24
レビュー対象商品: Despondent Transponder (CD)
世間評は「lovelessを現在進行形で鳴らしたアルバム」。
良くも悪くも「話題作」という冠がぴったりくる、シューゲイザーの良作。
この作品を求めるタイプの人間というのは、それはもうハッキリとしています。
my bloody valentine、もっと具体的に言えば「loveless」の世界に魅せられ、未だその幻影を追い続けている人。
シューゲイザー音源を聞いても聞いても、「loveless」で自らに培われてしまった欲求を満たせない、という人。
lovelessを聞かないまま今作を手に取る、という事態は、作品自体の希少さを考えててもまずありえず、
よって結果的にはマイブラファンの為のアイテムとなっているというのが実情ではないでしょうか。
だから欲しい人は買えばいいし、そうでなければ、そもそも目にとまる事もなくスルーするでしょう。
中々なお値段がついているのでうかつな事は言えませんが、幸福にも定価で購入した私からの意見はこうです。
「マイブラがスキでスキでしょうがないのなら、買ってみても、まあ後悔はしない。」
個人的な感想をいうと、これ、いい作品です。
スタジオワークを重視し、うねるようなノイズギターの揺らぎからくる酩酊世界。
ソングライティング、アレンジのセンスもよく、最後までだれることなく聞けます。
うだるような快楽サウンドが耳を挟撃するさまはまさしくマイブラ。うまい事コピーしたものです。
M1「the break up」なんかは中々の名曲で、シューゲイザーの中でもお気に入りの一曲です。
ただ、「loveless」のすごさは、ポップと狂気をお互いに有機的に結びつけ、どちらが欠けてもそれ足りえないという奇跡的なバランスであり、
当然この作品はその域には届いてはいません。
どの要素も想像の範疇なのです。私なんぞに冷静に分析されてしまうようなスキが存在しています。
それはもちろん表現としてのエピゴーネンの限界であり、そういった作品がどうしようと良作に留まってしまうということの証左です。
「loveless」が聴くたびに変わることなく衝撃を与えてくれるのは、音楽界に広く波及したアイデアと、
ケヴィン・シールズという男の極めてパーソナルなアーティストとしての情念が等しく詰め込まれているからです。
世の中に名盤と呼ばれる作品は数多くありますが、これほどに「横の繋がり」を感じない、孤高の作品はちょっと見当たらない。
恐ろしい作品です。フォロワーを次々と生みながら、そのオリジナリティー故にそれらを即座に亜流と切り捨ててしまう。
Fleeting Joysのメンバーもおそらくはマイブラがスキでスキでしょうがなく、
「いつまでたっても新作出ないし、自分たちで作っちゃおうぜ。聴きたいし」
という、思いから今作を作ったんだという部分は正直あると思います。
もちろんそこにアーティストとしてのエゴはありません。
この作品はメンバーもリスナーも一緒に輪になって、
lovelessの終わることない余韻を形にして、それを楽しむ一種の同窓的なアルバムなのです。
なんともありがたい、ぜひ参加させてくれ、という方は是非。後悔はしません。