ジャケットも素敵だけど、中のフランス語の歌唱がいい。フランス系移民によって作られたカナダの都市出身ということだけあって、彼女の英語はもともと舌足らずでフランス語に近い発音だったと思う。「de[′]sormais」というタイトルは、「これ以上近寄らせない、何も言わせない」という意味があるそうで、たぶん、唯一英語で歌われた「don't ask」のことなんだろう。今にも消え入りそうなボーカルとギター、そしてヘッドフォンを使わないと聞き逃してしまいそうなビートやエレクトロニクス。「余計なものを全て取り払ったアルバム」と書くと、随分とありふれた表現になるが、彼女の音楽は本当にありふれていない。世界中に散らばる女性ボーカリストは、ある程度の範囲でカテゴライズできそうだけど、彼女に近い歌手が本当にみつからない。tara jane o'neilがよく引き合いに出されるが、二人の音楽性に共通項はほとんど見えてこない気がする。ここ10年の女性ボーカリストブームで、セルフ・宅録・エレクトロ・ウィスパー声・ビョーク声というのがあまりにも溢れすぎてしまって、もう国の違いなんかほとんど感じられない時代の流れに食傷気味の中、彼女は完全に独立した存在だと確信できる