ベックがプロデュース、
という事で否が応でもかなりの期待をしていたのだけれど、
期待通りどころか期待を下回った出来でした。
これはもう完全にベックのオーバープロデュース。
サーストンの良さを潰している、とまでは言わないが、
少なくともサーストンの魅力は薄まっている。
なんというか、あの混沌として不穏ながらも、
柔和になっていくメロディーラインは健在です。
メロディーメイカーとしての魅力も、分かり易く表れているとは思います。
なのですが。
ベックのアレンジのせいで、そのメロが活かされていない。
ソニック・ユースやサーストンの作品群で聴ける彼のアレンジ、
奇天烈でありながら人懐っこい、
あの独特のアレンジでないと十分には活かされない。
静かに流れていくような曲にしたって、
以前までのようにシンプルな方が緊張感があり、
余程聴き応えもあったし楽曲的にも優れていた。
前作の生々しくヒリヒリした温度感は皆無。
サーストンが持つ、冷たい熱さがこの作品にはありません。
前作『Trees Outside the Academy』は美しく激しい傑作だったけれど、
今回の作品はベックのアルバムにサーストンがゲスト参加している様な、
そんな作品です。
ソニック・ユース、サーストンのファンにとってはガッカリしました。
サーストンは今回の様な着飾った作品でなく、
前作の様な素の姿の方が比べものにならないほど、
鋭くあり美しくもある、と思います。
2人のファンなだけあって、残念な作品でした。
但しベックのファンの方には、オススメです。