ディーリアスの擁護者であり偉大なるアマチュア、トーマスビーチャムの
溺愛する作品を集めたもの。ビーチャムの活躍はディーリアスの生前から
1961年までおよび、残した録音もSP録音からモノラル、ステレオと
全ての時代にまたがっていた。彼は1950年代にディーリアスの主要な
作品の録音を既に終えていた。しかし、残されたものはモノラル録音の為、
ビーチャムは晩年になって思い直したように英EMIに新たにディーリアスの
作品を録音し始めた。完成度にこだわって生涯何度もチャレンジした作品
【日没の歌】を始め、自身でオーケストレーションに改訂を加えた作品
【フロリダ組曲】、コンサートで何度も取上げた【丘を越えてはるかに】。
しかし愛奏していた【アパラチア】【海流】【北国のスケッチ】【パリ】は
時間的に間に合わず終わった。(1961年ビーチャム没)
彼の一番脂の乗っていた時期に録音していたものがモノラル盤かSP盤だった
のは惜しいことだ。それこそEMIへの録音は最後の気力を絞っての録音
だったのだろう。おかげでこの貴重な録音が我々に残った。その中でも特に
聞きやすいものを詰め込んだのがこのCD。
【ブリッグの定期市】はその中でも永遠の名演。
【夏の夕べ】彼はこの曲を好んで演奏していた。
【フェ二モアとゲルダ間奏曲】原曲のオペラの方はビーチャムは嫌いだった
ようで一部を一回演奏しただけだったがこの二つの間奏曲をつなげた曲は
大丈夫だったようだ。
【春始めてのかっこうを聞いて】【川の上の夏の夜】
ディーリアスを一番有名にした一曲目、作曲者の心情的には2曲目が好み
だったような。
【イルメリン前奏曲】こちらの方のオペラにはビーチャムは随分こだわって
オペラの情景の場面などを録音(ライブ)しているほど。
【マルシュ・カプリース】【そり乗り】
これ等はいかにもビーチャムがお気に召すタイプの小品。
不思議に思われるだろうが、ビーチャムはディーリアスの初期〜中期の作品
を特に好んで演奏している。それらの作品に共通するのはいかにも人間的で
暖かく、言ってみれば暖色系の作品と感じるものばかり。晩年の作品には
関心も無く、特にエリック・フェンビーが加わってからの枯れた寒色系の
作品などは例外を省いてあえて演奏ももちろん、録音も残していない。
フェンビーに対抗してかコアンガから編曲されたカリンダもオリジナルの
フロリダ組曲からのものしか録音していない。ここまで露骨にやるとは驚き。
なにはともあれ、ビーチャムのこだわりの演奏をお聴き下さい。
ディーリアスファンが聴きたい曲がずらりと並んでいる。
すべてビーチャムの手の内に入った演奏ばかり。
全てのディーリアスファンが持っていて欲しいアルバム。
※これ以外にも素敵な演奏が多い。
例えばEMIのイギリス作曲家シリーズで出ているもう一枚の宝物が
【フロリダ組曲】、【日没の歌】、【丘を越えてはるかに】などが、
詰まった1枚だ。
これらもビーチャムが愛奏したものばかり。