本作はウェスト・コースト・サウンド史上一つの頂点を極めた傑作と言ってよいだろう。サウンド的には60年代のウェスト・コースト・サウンド、特にコーラスを中心に据えたフォーク・ロックを総括し、70年代のイーグルス等に代表されるサウンドへの橋渡しをした意義は大きい。60年代末〜70年のヒッピー文化を背景とした「カット・マイ・ヘア」、「僕達の家」、「ウッドストック」といった曲、「キャリー・オン」「ティーチ・ユア・チルドレン」といった忘れ難い名曲もさることながら、やはりニール・ヤングという偉大な個性を持ったミュージシャンの参加が重要。特に「ヘルプレス」は名曲中の名曲。以後ニールのソロ・ステージで幾度となく再演されるが、素晴らしいコーラスをバックにし、初音源化された本作のものが最良のヴァージョンの1つであることは間違いない。私も大好きだ。彼が歌うこの曲と「カントリー・ガール」、そして彼のギターがなかったとしたら本作の雰囲気・影響力は随分違ったものになっただろう。
私は本作をウェスト・コースト・ロックの最高峰とは考えない。しかし、1つの巨峰であり、イーグルス等70年代に次の頂点を形成するウェスト・コースト・ロックの礎を築いたことは確かである。メンバーがワイルド・ウェストの頃の扮装をして当時を思わせる写真におさまっているジャケットは、イーグルスの2作目「ならず者」にヒントを与えたのでは、と想像するのは私の考えすぎだろうか。