今となっては「Heart Station」が自分の中で別格のアルバムになったが、それまでは一番好きで今でもよく愛聴するほど高い完成度を誇ると思う一枚。
まずはシングル曲のインパクトが凄い!プロモと相まってアート性の高い楽曲ばかりで、かといってイメージ重視なわけでなく高い完成度を持っている。
特に「traveling」は大ヒットしただけあるキャッチーな曲ながら挑戦的なアレンジ・構成が成功した名作だと思うし、
完成した瞬間に宇多田本人が「生涯最高傑作だ」と感じ自分の名前を付けたという「光」も通俗的な歌詞とどこか浮遊感のあるアレンジが生々しい現在と未来への希望を表現していて、
等身大でありながらアルバムの最後を締めくくるにふさわしい広がりのある空気感を持った希有な曲であると思う。
アルバム全体としても、前作「Distance」までと比べて一皮向けた充実した作品群で、本当に捨て曲が無い。
R&B路線も悪くなかったけれど、特有のポップスのセンスは今作のジャンルに縛られない作品作りで完全に開花し発揮されている。
「Distance」でもジャンルレスにしようとする意欲は感じられたが、実となって結実したのは今作だろう。
「Can You Keep A Secret?」のようなヴィヴラート使いすぎで下手をすると聞き苦しくなるような歌い方も改善され、歌唱という点でも成長している。
もともと力強い歌い方から繊細な歌い方まで使い分ける表現力はあるし、幅広い方向性の楽曲群を過不足なく歌いこなしている。
「Ultra Blue」も様々な音楽性を追求し挑戦意欲に溢れたいいアルバムだと思うが、単純に楽曲の質でこちらが上回っている。
バラエティ豊かながら一本筋の通った非常に出来のいいアルバム、宇多田ヒカルのオリジナルアルバムの中ではかなりオススメ